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乾燥 |
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読み:かんそう
英語:drying / dryness
解説:洗浄における乾燥の意味は、洗浄溶媒と乾燥溶媒を、洗浄・乾燥後の洗浄ワークに残さない事を云う。 |
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乾燥品質 |
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読み:かんそう ひんしつ
英語:drying quality
解説:乾燥品質とは、洗浄・乾燥後に求められる、洗浄ワーク表面に残留する洗浄溶媒の量と、乾燥により形成される染み等の欠陥の度合いである。従来は、洗浄ワークに洗浄溶媒が目視されなければ乾燥したと見なしたが、品質規格の厳しい分野においては、洗浄ワークに吸着残留する洗浄溶媒も、製品品質に影響する事がある。すなわち、乾燥起因の欠陥は、乾燥の不備だけではなく、洗浄やリンス不足によっても発生する。 |
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乾燥品質評価 |
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読み:かんそうひんしつひょうか
英語:evaluating remaining humidity
解説:乾燥品質評価とは、後工程が要求する洗浄物の乾燥品質が達成されているかを確認する事である。 このうち染み等の乾燥欠陥は、洗浄品質評価で同時に検出されてしまうが、欠陥防止の方策を取る為に、洗浄欠陥とは分けて扱われる。しかし、洗浄溶媒、乾燥溶媒が有機溶剤の場合、その残留は有機物残さとして洗浄品質評価で検出されてしまう。乾燥品質評価の詳細は、「④乾燥プロセスの最適化手法」を参照ください。 |
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乾燥方法 |
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読み:かんそう ほうほう
英語:drying techniques
解説:乾燥方法は、以下の原理を複合して構成されている。
-1:洗浄ワーク周囲の気体の、洗浄溶媒ガスの溶解度を高め、蒸発を促す。
*例えば、空気を温める方法や、洗浄溶媒が水であれば、乾燥した空気を送るなど。
-2:洗浄ワーク周囲の洗浄溶媒ガスを含む気体を、それを含まない気体に置換し、蒸発速度を高める。
*例えば、風を送るなど。
-3:洗浄ワークを温めて洗浄溶媒を加熱し、その蒸気圧を高めて蒸発を促す。
-4:物理的な力を加えて洗浄溶媒を洗浄ワークから引き離す。
*例えば、洗浄溶媒を拭き取ったり、エアナイフや遠心力で振り切るなど。
-5:洗浄ワーク周囲の雰囲気を、洗浄溶媒の蒸気圧以下に減圧し、蒸発速度を高める。
-6:付着洗浄溶媒を、より乾き易い乾燥用溶媒に置き換え、その乾燥用溶媒を乾かす。 |
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温風乾燥 |
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読み:おんぷう かんそう
英語:hot ventilator drying
解説:温風乾燥とは、洗浄ワークに加熱した空気を送り、洗浄溶媒を蒸発させる乾燥方法である。 大抵は熱効率を高める為、密閉した専用チャンバーで処理を行い、加熱空気の一部は循環再利用される。 精密洗浄では、洗浄ワークの2次汚染を防ぐ為、HEPA又はULPAフィルター等で濾過直後の加熱空気を洗浄ワークに供給する。 |
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スピン乾燥 |
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読み:すぴん かんそう
英語:spin drying
解説:スピン乾燥とは、濡れている洗浄ワークに遠心力を加え、洗浄溶媒を振り落とす水系洗浄における乾燥方法である。 遠心力は一方向にしか作用しないので、平滑な板状基板の乾燥にのみ適合する乾燥方法である。しかし、その乾燥品質は高く、乾燥処理時間も0.5~1分程度と短い利点がある。 遠心力を加える直前に洗浄ワークへ純水をシャワーして洗うリンサースピンドライ(rinser spin drying)とする事も多い。枚葉式磁気デイスク基板洗浄装置や、枚葉式ウエハ洗浄装置では、基板をクランプし、そのまま円周方向に高速回転させるリンサースピンドライヤーで乾燥させるのが普通である。 また、バッチ式磁気デイスク基板洗浄装置や、バッチ式ウエハ洗浄装置では、洗浄カセットごと回転して乾燥させる。 |
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蒸気乾燥 |
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読み:じょうきかんそう
英語:vapour phase drying
解説:蒸気乾燥とは、蒸発潜熱の小さな乾燥用溶媒を加熱して作った飽和蒸気中に、その蒸気温度より低温の、濡れている洗浄ワークを入れ、洗浄ワーク表面に凝集液化する乾燥用溶媒によって、洗浄溶媒を洗い落とし、洗浄ワークが乾燥用溶媒蒸気と同じ温度に暖まった時に洗浄ワーク表面への乾燥用溶媒の凝集液化が停止し、洗浄ワークが乾燥される洗浄・乾燥方法である。リンサースピンドライのように意図的にシャワーをしなくても、乾燥過程で乾燥用溶媒が凝集・流下する事で、洗浄も行われる事が特徴の乾燥方法である。乾燥用溶媒には、蒸発潜熱の小さな有機溶剤が使われ、バッチ式非水系洗浄では、洗浄用有機溶剤でそのまま蒸気乾燥する構造の装置も多い。但し、多くの有機溶剤は可燃性であり、可燃性溶剤を用いる場合、装置は防爆構造となる。硝子基板などのバッチ式水系洗浄装置にも、IPA(イソプロピルアルコール)を乾燥用溶媒とする蒸気乾燥がしばしば採用されている。 乾燥時間も2~5分程度で、バッチ式水系洗浄装置の洗浄タクトに適合する。IPAは水を溶解する双溶性溶剤であり、電子工業用の高純度の物が市販されているので、水系洗浄の乾燥方法としてはスピン乾燥と共に、その乾燥品質は高い。 |
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真空乾燥 |
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読み:しんくう かんそう
英語:vacuum drying
解説:真空乾燥とは、濡れている洗浄ワークを真空チャンバーに収めて減圧し、付着している洗浄溶媒の蒸発を促す乾燥方法である。乾燥時点での洗浄ワーク温度における洗浄溶媒の蒸気圧よりも減圧すると、洗浄溶媒は沸騰し、速やかに蒸発する。又、急速に減圧すると、洗浄溶媒は瞬間に沸騰(突沸)し、その勢いでかなりの洗浄溶媒が洗浄ワークから飛び出してしまうので、更に早く乾燥出来る。この洗浄溶媒の突沸を利用すると、部品の狭い隙間や螺旋穴内の洗浄溶媒を速やかに乾かせるので、湿式バッチ洗浄装置の乾燥方法として、しばしば利用される。 乾燥速度もバッチ式洗浄に適合する、2~5分程度である。 しかし、洗浄溶媒の気化熱が伝導して、洗浄ワークの温度が低下し、乾燥した洗浄ワークを真空チャンバーから取り出すと、結露して再び濡れる事がある。そこで、大抵の真空乾燥機構の直前には、事前に洗浄溶媒を液切りし、洗浄ワークを余熱する為の温風エアナイフや、温純水引上げ槽が付属する。 |
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吸引乾燥 |
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読み:きゅういん かんそう
英語:sucking up drying
解説:吸引乾燥とは、濡れている洗浄ワークの周りの空気ごと、付着している洗浄溶媒を吸い取る乾燥方法である。イメージとしては、掃除機で吸引するような方法である。乾燥を促進させる為に、エアブローや温風ブローを併用する事もある。底に多数の穴が開いた洗浄トレーに並べられた洗浄ワークの乾燥手段として利用される。 |
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純水引上げ乾燥 |
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読み:おんじゅんすいひきあげかんそう
英語:hot DI drying
解説:温純水引上げ乾燥とは、温めた純水中に洗浄ワークを浸漬し、それをゆっくり引き上げる乾燥方法である。 洗浄ワークが水面に出ると、表面張力で洗浄ワークに付着する純水が水面に取り込まれ、洗浄ワークが離水した時にはほぼ乾燥する。平滑な板状の洗浄ワークにのみ対応する乾燥方法である。プロセス時間は1~3分程度なので、水系バッチ式洗浄に適用される。純水ヒーター、浸漬槽、洗浄ワーク昇降アームで構成された簡易な構造から、故障が少なく、乾燥品質も比較的良好である。ただ、金属材質表面を酸化する傾向があり、純水温度や浸漬時間に配慮が必要な事が有る。 |
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マランゴニ乾燥 |
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読み:まらんごに かんそう
英語:marangoni drying
解説:マランゴニ乾燥とは、開発メーカーSteag Electronic Systems GmbHの登録商標であるが、この乾燥法式の通称となっている。 純水槽に洗浄ワークを浸漬し、水面にIPAを添加して薄いIPA層を作り、その後にゆっくり洗浄ワークを引き上げて乾燥する方法である。IPAは純水より軽く、かき混ぜなければ水と油のように分離しており、洗浄ワークがIPA層を通過時に、表面張力が小さいIPAに水や異物が取り込まれるので(マランゴニ効果)、乾燥品質に優れる。平滑な板状の洗浄ワークにのみ対応する乾燥方法である。 アルコール層の厚みや添加方法、乾燥補助手段の違う複数社の製品が、主に半導体ウエハ乾燥用として実用化されている。処理時間は5~10分とされる。 |
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赤外線乾燥/IR乾燥 |
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読み:せきがいせん かんそう/あいあーる かんそう
英語:infla-red drying
解説:赤外線乾燥とは、洗浄ワークに赤外線を照射して昇温させ、洗浄溶媒を気化・蒸発させる乾燥方法である。 濡れている洗浄ワークをいきなり赤外線乾燥させると、溜まっている洗浄液が遅れて乾燥し、染み等の乾燥欠陥となるので、事前に別の乾燥手段を施した後に実施する事が多い。 微量の残留吸着している洗浄溶媒をも除去出来るので、高温に耐える洗浄ワークの成膜前洗浄で適用される事が多い。 |
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エアナイフ水切り |
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読み:えあないふ みずきり
英語:air knives(pistols)spraying
解説:エアナイフ水切りとは、圧縮空気または窒素ガス等を濡れている洗浄ワークに強く吹き当てて、洗浄溶媒を吹き飛ばす乾燥方法である。吹き付ける気体の流速を高める為、細口のノズルを用いる。 乾燥を促す為に、吹き付ける気体を加温する場合もある。 板状基板の湿式枚葉洗浄では、しばしば用いられる乾燥方法である。 |
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乾燥溶媒 |
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読み:かんそう ようばい
英語:dryning solution
解説:乾燥溶媒とは、乾きにくい洗浄溶媒を置き換える、乾燥性の良い溶媒の事である。 機械部品の脱脂洗浄では、洗浄溶媒と乾燥溶媒を用いるシステムが実用化されており、精密部品の洗浄などに適用されている。 しかし、最も普及しているのは、水系洗浄でのIPA蒸気乾燥である。 乾燥溶媒として、双溶性溶剤のイソプロピルアルコール(IPA)を用いるが、同様の溶剤であるメチルアルコールや、エチルアルコールを用いる事もある。 いずれも水を無限大に溶解するが、IPAを用いる理由は、安価であり、電子工業グレードの入手が容易な為である。これら低級アルコール溶剤は水よりも蒸発潜熱が相当小さいので乾燥し易く、純水に濡れた洗浄ワークをアルコール槽に漬けて、付着水をアルコールに置き換えれば、更に容易に蒸気乾燥出来る。 洗浄ワークへの付着水量が少なければ、いきなり蒸気乾燥しても乾燥出来る。 |
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NEO乾燥 |
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読み:ねお かんそう
英語:NEO dryning
解説:一見するとマランゴニ乾燥のようであるが、マランゴニよりも短時間で乾き、自己洗浄機能を備えたクリーンな乾燥手段である。防爆構造が不要で常温で乾かすため、クリーンで安全でIPA使用量が大幅に削減可能である。スピン乾燥のように洗浄ワークに力が掛からないため、薄物の洗浄ワークへの対応も可能である。乾燥品質が高いので、半導体ウエハやハードディスクなどの乾燥に用いられる。 |
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IPA蒸気乾燥 |
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読み:あい ぴい えい じょうき かんそう
英語:IPA vaper dryning
解説:イソプロピルアルコール(IPA)を沸騰させて作った飽和蒸気中に洗浄ワークを入れて、凝集IPAで付着水を置換しながら、洗浄ワークを蒸気温度まで昇温させ、さらに蒸気ライン上まで引上げ凝縮IPA残膜を蒸発させる乾燥方法である。水系バッチ洗浄の乾燥手段として汎用性が高く、古くから使用されているが、過去に火災事故も報告されていて、運用には注意を要する。 |
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スーパー ヒート IPA蒸気乾燥 |
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読み:すーぱー ひーと あい ぴい えい じょうき かんそう
英語:Super Heat IPA vaper dryning
解説:108℃程度に温めたIPA蒸気を洗浄ワークの上から送り込むことで、べーパーダウンを少なくしたIPA蒸気乾燥器で、従来のIPA蒸気乾燥では乾かせなかった、質量の軽い物、薄い基板、小物(電子部品、小さなレンズやプリズム、てんこ盛りの水晶チップなど)を、蒸気乾燥器内で完全に乾かす事が可能である。 |
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